予約時間を過ぎても来ないお客様に電話をかけたら、「マップの通りに来たのに、着いたのは駐車場の裏でした」。あるいは自店を検索したら、閉店したはずの旧店舗名が並んで表示されている——。ピン位置ずれと重複リスティングは、地味なのに来店機会を直接削る不具合です。しかも店側は自分で検索しないので気づくのが遅れる。この記事では、どちらについても何が起きているのかと、どこで結果が分かれるのかを整理します。難しいのは操作ではありません。症状の切り分けと、申請が通らなかったときにどの材料を足すかという判断のほうで、しかも反映待ちは数日から数週間かかります。読み違えたまま再申請を重ねると、その待ち時間だけが積み上がっていきます。
まず確認|自店がどの状態か切り分ける
対処法が違うので、最初に切り分けます。スマホのシークレットモードで自店名を検索し、次の3つのどれに当てはまるか見てください。
| 症状 | 状態 | 対処 |
|---|---|---|
| ピンが建物からずれている/裏手や隣のビルを指す | 位置情報のずれ | ピン位置の修正申請 |
| 同じ店名が2件以上並ぶ | 重複リスティング | 重複の統合申請 |
| 旧店名・旧住所のまま残っている | 古い情報の残存 | 閉店処理または統合 |
ここで大事なのは、自分のスマホの通常ブラウザで見ないことです。ログイン状態や過去の閲覧履歴で表示が変わるため、実際のお客様が見る画面とずれます。シークレットモード、できれば店から離れた場所で確認してください。
経路リクエストの数が急に落ちた月があれば、ピン位置ずれを疑う価値があります。「順位は変わっていないのに来店が減った」ときの見落としがちな原因のひとつです。
ピン位置ずれの直し方
オーナー確認が済んでいる場合、修正はGoogleビジネスプロフィールの管理画面のビジネス情報から申請できます。操作そのものは地図上でマーカーを動かすだけの話で、ここで詰まる店はまずありません。
分かれ目は「どこに置くか」です。置くべきは建物の中心ではなく、お客様が実際に入る入口。ただし入口が複数ある建物、駐車場を経由して入る店舗、上階のテナントでは、正解が一意に決まりません。案内したい動線と、Google側が住所から推定する位置がずれるほど、直してもまた戻る確率が上がります。審査が数日で済むこともあれば、状況により数週間かかることもあります。
住所表記そのものが原因のケース
ピンだけを直しても再びずれる場合、住所の書き方に原因があることがあります。よくあるのは次の3つです。
- 建物名・階数が抜けている:同じ番地に複数のテナントがあると特定できません
- 丁目・番地がハイフンで略されている:「1-7-5」ではなく「1丁目7-5」の形で登録する
- 旧住所のまま:住居表示の変更後に更新していないケース
住所を正しく整えたうえでピンを合わせると、安定しやすくなります。なおサイトやポータルサイト側の住所表記が古いままだと、そちらの情報に引きずられることもあるため、NAP(名称・住所・電話番号)の表記を全媒体で揃えるのが根本対策です。
もっとも、ここを整えれば必ず安定する、という保証はありません。Google側が住所から推定している位置と、こちらが正しいと考えている位置が食い違っている場合、表記を直しても推定のほうが勝ち続けます。その状態かどうかを見分ける手がかりは、修正が何度目で戻るか、戻ったときにどこへ戻るか、周辺の同じ番地にある店がどこにピンを置かれているか——といった、複数回の申請を通して初めて輪郭が出る種類の情報です。1回目が通らなかっただけで「表記が原因ではなかった」と結論づけると、次に何を変えて出し直すべきかの見当が立たないまま再申請を重ねることになり、その待ち時間ぶんの来店を落とし続けます。しかも落ちていることは、経路リクエストの数字を月単位で並べて初めて分かるため、渦中にいる間は損の大きさが実感できません。
重複リスティングの直し方
重複は「移転前の情報が残っている」「別のスタッフが新規作成してしまった」「Googleが自動生成したリスティングが残っている」あたりが典型的な原因です。
この作業の本体は「どちらを残すか」の判断
統合の申請自体は、マップ上の「情報の修正を提案」から重複である旨を指定する形で出せます。オーナー確認済みの重複が自分の管理下にある場合は、管理画面のサポート経由で統合を依頼します。反映は数日で済むこともあれば、数週間かかることもあります。
問題は、その前にどちらを本体として残すかを決めなければならない点です。判断材料になるのは、口コミの件数、オーナー確認の有無、情報の新しさ、そして検索でどちらが表示されているか。この4つが同じリスティングを指していれば迷いませんが、実際にはばらけます。口コミは多いがオーナー確認が取れていない側と、確認は済んでいるが実質空のリスティング——どちらを残すかで、その後に取り戻せるものが変わります。口コミは統合で引き継がれる場合もありますが、確実ではありません。一度消えた口コミは戻らないため、この選択はやり直しがききません。
重複を消したいからといって、残したいほうのリスティングを削除する、あるいは重複側に「閉業」を付けてから店名を変える、といった操作は避けてください。誤って本体側が閉業扱いになると、復旧の手間は比較になりません。作業前に、両方のリスティングのURLと口コミ件数をメモしておくことをおすすめします。
申請が通らないときの追加手
1回で通らないことは珍しくありません。打てる手の種類は、おおむね次の4つです。
- 時間を置いての再申請
- 住所の実在を裏付ける情報の補強
- 自社サイト側の表記の修正
- ビジネスプロフィールのサポートへの問い合わせ
ここで効いてくるのは、この4つをどの順で、どれだけ間隔を空けて出すかです。同じ内容を短い間隔で連投すれば通りにくくなりますし、逆に間を空けすぎれば、その間ずっと来店機会を落とし続けます。裏付け情報も、何を添えれば効くのかは症状によって変わる。住所そのものが実在を疑われているのか、位置の妥当性を疑われているのかで、揃えるべき材料が違うからです。
この一連のやり取りは、正直なところ手間がかかります。申請して待って、通らずにまた材料を揃えて——を営業しながら回すのは負担が大きく、しかも何が原因で通らなかったのかは通知されません。前回と何を変えて再申請するのかを、毎回こちらで組み立て直す必要があります。※当社FACTORは、この種の申請対応を、マップ上での見え方の設計と一体で運用ごと引き受けています。
再発を防ぐ運用チェックリスト
直したあとに、また同じ状態に戻る店舗は少なくありません。再発の芽になるのは、次の6点です。
- □ 客の目線での表示確認
- □ 移転・改装・店名変更時のGBP更新
- □ スタッフによる新規リスティングの誤作成
- □ 公式サイト・予約サイト・SNSの住所表記のばらつき
- □ 閉店した旧店舗の閉業処理
- □ オーナー権限の保持者
この6項目のどれから手を付けるかで、再発の止まり方が変わります。表示確認をどれだけ丁寧にやっても、権限が担当者ひとりに紐づいたままなら、その人が抜けた瞬間に何もできなくなる。逆に権限だけ整えても、媒体間の住所表記がばらついたままなら、ピンは静かにずれ続けます。どこが自店の弱点かは、店舗数と、これまでに何を変えてきたかによって違います。
特に後半の項目は、後になってから効いてきます。旧店舗の閉業処理を忘れたまま数年経ち、口コミが旧店舗側に付き続けていた——という事例は現場で実際に見かけます。この状態は、気づいた時点で取り戻せるものが限られます。
自店がどの状態にあり、どこから手を付けるべきかは、実際の表示と競合の並びを見ないと決められません。無料のAI診断では、店舗名からマップ上の現状を確認できます。
よくある質問
ピン位置の修正を申請してから、反映まではどのくらいかかりますか?
重複したリスティングを統合すると、口コミはどうなりますか?
オーナー確認をしていない店舗でもピン位置は直せますか?
同じ建物に複数のテナントがあり、ピンがずれやすいのですが対策はありますか?
まとめ
ピン位置ずれと重複リスティングは、順位の話題に隠れて見落とされがちですが、来店機会に直結する不具合です。厄介なのは、症状が似ていても原因が違うことです。位置情報のずれなのか、住所表記の書き方なのか、重複の残存なのか。ここを取り違えたまま申請すると、通らないまま数週間が過ぎ、その間ずっと来店を落とし続けます。しかも何が原因で通らなかったのかは通知されないため、次に何を変えて出し直すかを自分で組み立て直すことになります。反映に時間がかかる領域だからこそ、最初の切り分けの精度がそのまま復旧までの日数に効いてきます。そして直したあとも、客の目線で表示を確かめる習慣がなければ、ずれたことに気づくのは次に予約が飛んだときです。
NEXT ACTION
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