「MEOで上位に入れたら、広告は止めていいですよね」——ご相談の場でよく出てくる言葉です。ただ、この前提には無理があります。ローカル検索広告と自然枠のローカルパックは、同じ画面に別々の枠として並んで表示されるもので、片方が上がればもう片方が不要になる、という関係にはなっていません。この記事では「Google広告とMEOをどう併用するか」を、実際によく受ける6つの質問の形で整理します。予算をどちらから配るか、どちらを先に回すか、そして併用したときにいちばん厄介になる効果測定まで、どこで判断が割れるのかを中心に扱います。
「MEOが上がれば広告はいらない」は本当か?
まず誤解のほうをほどきます。この考え方は、広告とMEOが同じ枠を奪い合っているという前提に立っています。実際の検索結果は、そうなっていません。
エリア名を含むキーワードでスマートフォンから検索すると、画面は上から広告、地図とローカルパック(店舗3件)、そして自然検索結果という並びになることが多くなっています。ローカル検索広告はこのローカルパックの枠内や直前に「広告」ラベル付きで表示されます。自然枠の3件とは別に用意された場所です。つまり、広告枠と自然枠は奪い合いではなく、両方に載れば画面上の占有面積が増えます。自然枠の3件に入ることは、広告を出している店にとっても価値が消えるわけではありません。
逆方向も同じことが言えます。広告を出していても、自然枠に入っていなければ、広告表示を無意識に読み飛ばす層には届きません。マップアプリの中で検索する人、口コミ件数を見比べてから決める人。この層を動かすのは自然枠側の情報です。
広告とMEOは「どちらが優れているか」で比べるものではありません。広告は入札で直接指定して出す露出、MEOは設計で寄せて獲りにいく露出です。当て方が逆なので、比較ではなく役割分担で考えるほうが実務に合います。
ローカル検索広告と自然枠は何が違うのか?
表示の決まり方からして別物です。ローカル検索広告は入札額と広告の関連性で表示が決まり、クリックや通話に対する従量課金で、設定したその日から出せます。ローカルパックは関連性・距離・視認性の総合で決まり、Google側の掲載料はかかりません。そのかわり、入札で位置を買うことはできず、プロフィールの設計で寄せていくことになります。
距離は店の側から動かせない要素ですが、そのぶん関連性と視認性で差がつきます。そこはプロフィールの設計で動かせる部分です。
ここで押さえたいのは、狙いの当て方が違うだけで、どちらも狙って獲りにいくものだという点です。広告は「この言葉で、この半径で、この時間帯に出す」と入札で直接指定します。MEOは、獲りにいくキーワードを先に決め、そこから逆算してプロフィールの組み方と口コミで集める言葉を設計していきます。指定するか、設計で寄せるかの違いであって、自然枠は運任せではありません。当社が支援した大阪のカプセルホテルが「大阪 カプセル」で1位を獲ったのも、狙うキーワードを先に決めて設計した結果です。
広告のクリック単価は、業種と地域で大きく開きます。同業の知り合いから聞いた数字がそのまま自店に当てはまることは、一般にほとんどありません。自店で試して得た数字も、どれだけの期間・どれだけの金額を投じれば判断できるだけの母数になるのかは、検索需要の量と競合の入札状況によって変わります。母数が足りないまま出した結論は、次の月には覆ります。
予算はどう配分すればいいのか?
「広告7:MEO3」のような比率を先に決めるやり方は、あまりおすすめしません。結果を分けるのは比率より、何をどの順に積むかです。
そして、その順番が状況によって変わり、一律の正解がないことが厄介な点です。受け皿のプロフィールから入れば広告費は無駄になりませんが、整えている間の露出は増えません。広告から入れば数字はすぐ取れますが、受け皿が弱いままでは、集めたクリックが成約に変わらず、取れた数字も歪みます。同じ業種でも、獲りにいくキーワードと現状の位置、そして今月どれだけ埋める必要があるかで、どちらから入るべきかは反転します。
いちばん惜しいのは、プロフィールが競合に見劣りしたまま広告だけを長期間回し続けている状態です。この状態で広告のクリックを増やしても、器のほうから漏れていきます。しかも広告のレポート上は「クリックは取れている」と見えるため、漏れている事実が数字に現れません。この状態を放置して漏れていくのは、毎日の予約と来店の候補そのもので、払った広告費の分だけ、競合の店に客を送り届けていることになります。何が見劣りしているかは、隣に誰が並んでいるかで変わるので、自店のプロフィールだけを眺めても分かりません。
広告に寄せる判断はどこで割れるのか?
たとえば開業直後のように、自然枠で選ばれる材料が育つ前に知らせる必要がある局面では、時間を買う手段として広告を使う考え方があります。ただ、同じように見える局面でも、商圏の上位がどの程度の運用をしている店で固まっているかによって、広告に寄せるべき度合いは反転します。上位3枠が長く営業している店で固まっているエリアと、入れ替わりの激しいエリアでは、同じ開業直後でも組み方がまるで違います。どこまで広告に寄せるか、いつ自然枠の側に比重を移すかは、自店の数字だけでは判断がつきません。
自然枠に比重を置く判断はどこで割れるのか?
反対に、自然枠に比重を置くべきかどうかも、店の条件だけでは決まりません。条件が揃っているように見えても、受け皿の見劣りが残っていれば、比重を置いた分がそのまま成約に変わるとは限りません。ここが判断の割れる場面です。
そして、何が見劣りしているのかの中身は、隣に誰が並んでいるかで変わります。写真は枚数を揃えれば済むものではなく、どの順番で何を見せるかで反応が変わり、必要な構成は業種と商圏の競合状況によって違います。口コミへの向き合い方も、返せばいいという話ではありません。この領域は、MEO運用のなかで最も判断が要る部分そのものです。
併用したとき、効果はどう分けて測るのか?
併用でいちばん困るのが、ここです。放っておくと同じ1件が二重に数えられます。広告をクリックした人がプロフィールを見て電話をかけると、広告側のコンバージョンとビジネスプロフィールの通話数に、それぞれ1件ずつ計上されます。単純に足すと実際の倍の数字になり、判断を誤ります。
切り分けの手立ては仕組みとしてはいくつか用意できますが、どれも正確さと引き換えに何かを失います。計測の入り口を分ければ数字は正確になる一方で、既存の掲示物や名刺との整合が崩れる。サイト経由の流入は追えても、プロフィールから直接電話をかけた人は追えない。どこまで正確さを取り、どこで割り切るか。この線引きが、そのまま毎月見る数字の信頼度になります。
広告を一時的に止めて差を見る、という考え方もありますが、止める期間が短すぎれば差が誤差に埋もれ、長すぎればその間の売上を落とします。季節要因や曜日構成が揃っていない比較は、そもそも結論になりません。この設計を誤ると、テストのために払った機会損失だけが残ります。
そのうえで、数字を並べたあとに翌月どの打ち手を止めてどれを増やすかを決めるのが本番です。判断材料がそろわないまま一度飛ばすと、その後は比較の基準が失われて止まります。※当社FACTORが自然枠の側でこの判断に関わるとき、見ているのは自店の通話数だけではありません。同じ商圏で同じ言葉を狙っている競合が、自然枠でどう並んでいるか。検索する地点や時間帯、言い回しを変えたときに、その並びがどう入れ替わるか。そうした外側の並びと突き合わせて、自店がいま自然枠のどこまで届く位置にいるかを見立てています。競合の並びも、地点や時点ごとの入れ替わりも、自店の管理画面には一行も残らないので、店の中の数字だけでは組み立てようがない部分です。
自店の場合に広告とMEOのどちらから配るべきか、いま自然枠でどこまで届く位置にいるのかは、実際の順位と競合の並びを見ないと決められません。無料のAI診断では、GoogleマップのURLを貼ると要点がその場で表示されます。
よくある質問
MEOで上位に入ったら、Google広告は止めてもいいですか?
予算が限られています。広告とMEOのどちらから始めるべきですか?
広告とMEOで問い合わせが二重に数えられることはありますか?
まとめ
Google広告とMEOは、同じ枠を取り合うライバルではありません。広告は入札で直接指定する露出、MEOは設計で寄せて獲りにいく露出。どちらも狙って獲りにいくもので、当て方が違うだけです。自然枠は運任せではありません。難しいのは、この2つをどの順番で、どの比重で回すかを自店の状況に合わせて決めることのほうです。同じ業種でも、空き枠の埋まり方と競合の運用状況が違えば、正解の配置は変わります。広告で反応した言葉を自然枠の側へ移していければ、広告費は出費ではなく調査費として残る。ただしそれは、二重計上を避けた形で数字を持ち続け、そこから翌月の打ち手を入れ替える判断を毎月下せている場合に限ります。数字を並べることと、そこから何を止めて何を増やすかを決めることの間には、想像より大きな隔たりがあります。しかも判断に要る競合の出方や、地点・時点による並びの入れ替わりは、店の中からは再現できません。外から見たときの出方を持っている側に出してもらうほうが早いはずです。
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