「MEO業者はどうせ怪しい」——そう感じている店舗オーナーは少なくありません。突然かかってくる電話、「Googleの〜」という名乗り、「必ず上位に」という言葉。そう感じるだけの材料が、実際に出回っています。ただ、怪しく見える理由と、店の側で実害が出る理由は同じではありません。この記事では、MEOの契約まわりでトラブルが起きる構造と、公開情報の範囲で確かめられる事実、そして提案の良し悪しが店の側から判定しにくい理由を整理します。
「怪しい」と感じる材料はどこから来ているのか
店舗に届くMEOの営業には、決まった入口があります。代表的なのが「Googleの代理店です」「Googleと提携しています」という名乗りです。Googleには広告事業の認定パートナー制度がありますが、それは特定の会社のMEOの提案内容をGoogleが保証している、という意味ではないとされています。また、Googleビジネスプロフィールへの掲載そのものに、Googleへの掲載料はかかりません。
こうした名乗りが警戒されるのは自然なことです。ただ、店の側の実害は、名乗りそのものよりも、その後の契約の中身から生まれます。「怪しい」という印象は入口の話で、損をするかどうかは中身の話です。この二つが混ざったまま判断すると、入口の印象だけで全部を断るか、入口の印象が良ければ中身を見ないまま決めるか、どちらかに振れやすくなります。
もうひとつ、怪しく見える背景には、MEOの仕事が店の側から見えにくいという事情があります。プロフィールの表示は毎日目に入りますが、その裏でどの語を狙い、何を見て、どの打ち手を入れ替えているかという判断は、画面には出てきません。判断の中身が画面に出ない商品は、まじめに運用している会社でも、そうでない会社でも、同じように「よく分からないもの」に見えます。ここが、この業界が誤解されやすい根本です。
「必ず上位」という言葉について、公開情報で確かめられること
「必ず上位表示できます」という言葉を受けたとき、押さえておきたい事実があります。Googleの掲載順位を外部の会社が保証できる仕組みは、公開情報の範囲では確認されていません。Google自身も、検索結果での上位表示を約束できる人はいないという趣旨の案内を出しているとされています。
一方で、ここで取り違えやすい点があります。保証できないことと、狙って上げにいけないことは別の話です。ローカル検索の順位は、関連性・距離・知名度といった要素で決まるとGoogleは説明しています。距離は動かせないぶん、関連性と知名度で差がつき、そこは設計で動かせます。順位は運任せに待つものではなく、狙う語を決めて獲りにいくものです。
つまり、問題になるのは「保証」という言葉の強さそのものではありません。その言葉の裏に、どの語で、どういう設計で上位を獲りにいくのかという中身があるかどうかです。そして、この中身の良し悪しは、店の側からは判定しにくい構造になっています。
契約まわりには、踏むと戻せない線がある
契約まわりのトラブルの多くは、後から条件を見直すことで取り返しがつきます。ただし、踏んだ時点で元に戻せないものがあります。損失が大きいので、代表的なものを二つだけ挙げます。
- 口コミの代行投稿・購入:Googleのポリシー違反であると同時に、2023年10月に施行されたステルスマーケティング規制(景品表示法)の対象として、店舗側が問われるおそれがあります。プロフィールが停止されれば、それまで積み上げた口コミごと表から消えます
- Googleビジネスプロフィールのオーナー権限が店舗側に残らない形:権限の所在によっては、契約が終わったあとにプロフィールを店の手で扱えなくなることがあります。積み上げた口コミや写真が載っているのは、そのプロフィールです
ほかにも判断の要る線はあり、どの線に当たるかは業種の規制と契約の形で変わります。厄介なのは、どちらもその場では便利に見えるか、気づかないまま進む種類のものだという点です。発覚したときには、集客の土台そのものを失っています。
提案の良し悪しは、なぜ店の側から判定しにくいのか
契約の前に複数の会社の話を聞くと、提案の言葉は驚くほど似てきます。キーワード、カテゴリ、写真、口コミ。どの会社も同じ語彙で説明するので、聞いている側には違いが見えず、最後は金額や担当者の印象で決めることになりがちです。
差がつくのは、その語彙の裏にある判断のほうです。同じ「キーワードを決める」でも、自店の中の情報だけで決めているのか、同じ商圏で並ぶ競合がどの語でどう並んでいるかまで見て決めているのかで、打ち手は逆を向くことがあります。競合が厚く固めている語に正面から挑むのか、まだ誰も固めきっていない語から押さえにいくのか。どちらが正しいかは、商圏の並びを見ないと決まりません。
問題は、その並びを店の側が持っていないことです。自店の管理画面に残るのは自店の数字だけで、隣の店がどの語でどう出ているか、地点や時点を変えると並びがどう入れ替わるかは、一行も記録されません。だから提案を聞いても、それが自店の商圏に合っているのかを照らし合わせる材料がない。店主の目が甘いのではなく、照らし合わせる材料が最初から手元に無いという構造です。
※当社FACTORが狙う語と打ち手を決めるときに見ているのも、依頼元の管理画面の中身だけではありません。同一商圏で並ぶ競合の並びと、地点・時点・聞き方を変えたときにその並びがどう入れ替わるかまで重ねて、どこを獲りにいくかを逆算しています。この比較は店の管理画面には一行も残らないので、社内では組み立てられない部分です。
自店の商圏でどこが空いているかは、実際の並びを見ないと決められません。外から見たときの出方を手元に持っておくと、どの会社の話を聞くにしても前提がそろいます。入口としては、GoogleマップのURLを貼ると要点がその場で表示される無料診断があります。
判断を先送りしているあいだに起きていること
「どこも怪しいから、しばらくは何もしない」という判断も、ひとつの選択に見えます。ただ、その間も同じ商圏の検索は毎日行われていて、上位に並んでいる店に来店と電話が流れています。地図で候補に入らなかった人は店に一度も接触しないので、その取りこぼしはどの帳簿にも残りません。気づかないまま、毎日ぶんの客数が隣の店に移っていきます。
逆に、中身を確かめないまま契約した場合の損失は、月額の支払いだけでは済みません。口コミの代行投稿のような戻せない線を踏めば、積み上げた口コミとプロフィールを失い、集客の土台からやり直しになります。どちらに転んでも、損失は最後には客数と売上に出ます。そして、どちらに転びかけているかは、自店の画面を眺めているだけでは分かりません。
よくある質問
「Googleの代理店です」と名乗る電話営業は本物ですか?
「必ず上位表示できます」と言われました。信じていいですか?
契約してしまった業者と解約したい場合はどうすればいいですか?
まとめ
MEO業者が怪しく見えるのは、営業の入口に誤解を招く名乗りや強い言葉が出回っていることと、運用の判断が店の側から見えにくいことが重なっているためです。Googleの掲載順位を外部の会社が保証できる仕組みは公開情報の範囲では確認されていませんが、保証できないことと狙えないことは別で、順位は設計で獲りにいくものです。口コミの代行投稿やオーナー権限の扱いのように、踏むと戻せない線もあります。そして提案の良し悪しを分けるのは、同じ商圏の競合の並びをどこまで見て判断しているかで、その並びは店の管理画面には残りません。外から見たときの出方は店の中からは再現できないので、そこは持っている側に出してもらうほうが早いところです。
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