自分の店のホームページを、Wi-Fiを切ったスマホで開いてみたことはありますか。店の中は快適なWi-Fi環境でも、お客様が見るのは移動中の電波です。トップの写真が出るまでに5秒かかれば、多くの人はその前に戻ります。表示速度の改善というと専門的に聞こえますが、本当に難しいのは作業そのものより手前にあります。同じ「遅い」でも、重さを抱えている層がサイトごとに違い、層を読み違えると打ち手が逆を向くからです。計測の数字は誰でも出せますが、その数字はどこを直せばいいかまでは教えてくれません。この記事はQ&A形式で、その切り分けがなぜ難しいのかを整理します。
Q1. そもそも何秒なら合格ですか?
ひとつの目安として、スマホでメインの画像が表示されるまで2.5秒以内が良好とされています。これはCore Web VitalsのLCP(最大コンテンツの描画)という指標の基準です。4秒を超えると改善が必要な水準と見なされます。
ただし、これはあくまで指標上の話です。実務的には「自分が客だったら待てるか」という感覚のほうが役に立ちます。店の場所を調べたいだけの人にとって、5秒はかなり長い時間です。
Q2. どうやって計測すればいい?
Googleが提供している計測の仕組みとして、URL単位でスコアと改善提案を出すPageSpeed Insightsと、実際の訪問者の実測値を集計するSearch Consoleの「ウェブに関する主な指標」があります。どちらも数字は出してくれますが、性格が違います。前者は一回の試験的な読み込みの結果で、後者は実ユーザーの集計です。同じページでも両者の結論が食い違うことは珍しくありません。
もうひとつ起きやすいのが、パソコンとモバイルの差です。パソコンのスコアが90点台でも、モバイルでは40点台ということがよくあります。店舗サイトの訪問者は圧倒的にスマホなので、パソコン側の数字で安心してしまうと、実際の客が見ている状態とずれたまま判断することになります。
そして、数字が出ることと原因が分かることは別です。スコアはページ全体の結果をひとつにまとめた値なので、そこから「どこで重さを抱えているか」は読み取れません。
Q3. 何から手をつけるべき?
PageSpeed Insightsの提案は項目が多く、上から順に全部やろうとすると挫折します。この作業の本体は、直すことではなく切り分けです。
店舗サイトの重さは、大きく見ると二つの極のあいだのどこかにあります。一方の端は、特定のページの中身が重い状態。もう一方の端は、サイトの土台そのものが重く、どのページを開いても同じように遅い状態です。前者なら手を入れる場所は局所的ですが、後者ではページの中身をどれだけ軽くしても頭打ちになります。同じスコアでも、どちらに寄っているかで打ち手が逆を向きます。
厄介なのは、PageSpeed Insightsの提案がこの区別をせずに並べて出してくることです。提案の上位に来ている項目が、そのサイトで最も効く項目とは限りません。ここを読み違えたまま作業に入ると、手をかけた割にスコアが動かず、そこで止まります。しかも、どちらの極に寄っているかを判断する材料は、スコアの数字の中にはほとんどありません。どのページが集客の入り口になっているか、その入り口に客がどの経路から来ているか、といった計測ツールの外側の情報と重ねて初めて形になります。
Q4. 画像はどう直すのが正解?
店舗サイトで画像が重さの中心になっていることは多いのですが、「画像を軽くする」と一口に言っても、画像の中で重さを抱えている場所は一つではなく、どこで抱えているかで手が変わります。
そして、どこまで軽くしてよいかには一律の正解がありません。落としどころは、そのページで画像が担っている役割によって変わります。料理や施術の質感を伝えるための写真と、雰囲気を添えるだけの背景写真では、許容できる画質がまるで違う。一律の数値で全画像を縮めると、見せたい写真の説得力から先に失われます。逆に、軽さを優先した設定が裏目に出ることもあります。最初に見えるべき主役の画像まで後から読み込む設定にしてしまうと、指標上はむしろ悪化します。
写真を大量に並べたギャラリーページだけが極端に重い、というのは非常によくあるパターンです。サイト全体を平均で見ていると、この偏りは見えません。どのページが集客の入り口になっているかと、どのページが重いかを重ね合わせて初めて、手を入れる場所が決まります。
Q5. 画像以外の重さはどう見分ける?
重さの出どころは画像だけではありません。文字の見せ方や、長く運用するうちに足されてきた機能が、表示を遅らせていることもあります。ただ、ここは画像以上に見分けにくい領域です。削れば軽くなる一方で、削った先で別のものが崩れるからです。デザインの強弱が失われて読みにくくなることもあれば、表示に関係なさそうに見えたものが別の機能の前提になっていて、しばらく誰も見ないページで表示が崩れていた、ということも珍しくありません。
どこまで削ってよいかは、そのサイトが何で見せ方を作り、どの機能に集客の入口を頼っているかによって変わります。スコアの提案は「削れるもの」を教えてくれても、「削ってよいもの」までは教えてくれません。
Q6. どこからが自店で判断しきれない領域か?
線引きは「作業の難易度」で考えがちですが、実態に合うのは「間違えたときに気づけるかどうか」です。画像の差し替えのように手が動きやすい作業でも、どの写真をどこまで縮めるか、どの要素を削るかは判断であり、外しても画面上には何も起きません。テーマの構造やサーバー、キャッシュの設定に関わる部分は、原因の切り分けを誤ると、直したつもりで別の場所を壊します。しかも壊れた側は、しばらく誰も見ないページで静かに起きます。
さらに、画像の扱いは1回整えれば終わりではありません。新しい写真を追加するたびに「どの写真を載せるか」「どのページなら重くしてでも見せるか」という判断が毎回ついて回ります。そして、この判断を外してもその場では何も起きません。見せたい写真を落としすぎて説得力が消えた月も、逆に残しすぎて入口のページだけが重くなった月も、画面は普通に表示されます。効いてくるのは、入口のページで戻ってしまった客のぶんだけ来店と予約が減るという形で、その頃には撮影と掲載を何十回か繰り返したあとなので、どの判断が響いたのかを遡れません。間違いに気づけないまま、取りこぼした客数だけが静かに積み上がるのがこの領域の性質です。
※当社FACTORは、マップや検索から客が着地するページを、集客の入口としてマップ側の設計と一体で見ています。そのとき見ているのは自サイトの数値だけではありません。同じ商圏で競合している店が、どのページにどれだけの重さを許し、どこで軽さを取っているか。マップや検索から来た客が最初にどのページに着地しているか。そうした並びと突き合わせて、どのページの重さが集客の足を引っ張っているかを見立てています。競合のサイトの状態も、自店に客が入ってくる経路の全体像も、自店の管理画面や計測ツールには一行も残らないので、店の中だけで組み立てるのは構造的に難しい部分です。
自サイトのどこがボトルネックなのか、そもそも速度が今の集客の足を引っ張っているのかは、実際のページと流入の状況、競合の並びを突き合わせないと決められません。無料のAI診断では、GoogleマップのURLを貼ると要点がその場で表示されます。
Q7. 速くしたら集客は増えますか?
正直に書きます。速度改善だけで問い合わせが劇的に増えることは、あまりありません。表示速度は検索で評価される要素のひとつですが、それ単独で集客の形が変わるものではありません。
効くのは「せっかく来た人を取りこぼさない」方向です。広告やマップから流入があるのにサイトで離脱されている状態は、入口で客を毎日帰しているのと同じです。マップの表示を上げて来訪を増やしても、着地したページで待たされて戻られれば、増えた分はそのまま来店の手前で消えます。集客の入り口を広げることと、受け皿の穴を塞ぐことは、同時に積むほうが結果につながります。
流入がすでにある店ほど速度改善の価値は高くなりますが、自店の流入がどの入口にどれだけ来ていて、そのうちどこで落ちているかは、計測ツールのスコアだけでは見えてきません。
よくある質問
表示速度のスコアは何点あれば十分ですか?
WordPressの高速化プラグインを入れれば解決しますか?
画像をリサイズすると画質が落ちませんか?
まとめ
店舗サイトの表示速度は、計測の数字を出すところまでは誰でも辿り着けます。そこから先を分けるのは、原因の切り分けです。重さがページの中身にあるのか、サイトの土台にあるのかで打ち手は逆を向き、提案の上から順に潰していく進め方では、体感が変わらないまま手間だけが積み上がります。加えて、整えた状態は新しい写真を載せるたびに少しずつ崩れ、その崩れは入口のページで戻ってしまう客の数としてしか現れません。どのページで客を落としているかは、店の中からスコアを眺めていても再現できない部分です。外から見たときの出方と競合の並びを持っている側に出してもらうほうが、早く確かです。
NEXT ACTION
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記事で挙げた観点が自店に当てはまるかは、実際の状態を見ないと判断できません。まず現状の把握から。
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